不動産と税金 不動産を買ったり、売ったり、そして持ってるとかかるみなさんの関心事である税金についてお伝えします。 <目 次> 〔平成29年度税制改正〕 この年度では、不動産関連での税制改正はございません。 平成29年4月に財務省から出された「平成29年度税制改正パンフレット」をご参照ください。 〔平成28年度税制改正〕 1. 空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例 2. 既存住宅に係る三世代同居改修工事をした場合の特例 3. 特定の居住用財産の買換え等の特例等の延長等 ● 不動産を買ってかかる税金 印紙税 登録免許税 不動産取得税 (住宅ローン減税) ● 不動産を売ってかかる税金 印紙税 譲渡税 ● 不動産をもっててかかる税金 固定資産税・都市計画税 不動産を買ってかかる税金 印紙税 土地建物売買契約書に貼付する印紙(平成26年4月1日~平成30年3月31日までの間に作成) 売買契約金額 印 紙 100万円を超え 500万円以下のもの 1千円 500万円を超え 1,000万円以下のもの 5千円 1,000万円を超え 5,000万円以下のもの 1万円 5,000万円を超え 1億円以下のもの 3万円 1億円を超え 5億円以下のもの 6万円 ↑ 目 次 登録免許税 不動産の登記について課税されます。 (1)土地の所有権の移転登記 内容 課税標準 税率 軽減税率 売買 不動産の価額 1,000分の20 平成29年3月31日までの間に登記を受ける場合1,000分の15 (2)建物の登記 内容 課税標準 税率 軽減税率 所有権の保存 不動産の価額 1,000分の4 個人が、平成29年3月31日までの間に住宅用家屋を新築又は建築後使用されたことのない住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存登記 1,000分の1.5 売買又は競売による所有権の移転 不動産の価額 1,000分の20 個人が、平成29年3月31日までの間に住宅用家屋の取得(売買及び競落に限ります。)をし、自己の居住の用に供した場合の移転登記 1,000分の3 新築又は建築後使用されたことのない特定認定長期優良住宅の取得をし、自己の居住の用に供した場合の保存又は移転登記 1,000分の1(一戸建ての特定認定長期優良住宅の移転登記にあっては、1,000分の2) (注) 課税標準となる「不動産の価額」は、市町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格です。市町村役場で証明書を発行しています。 (3)住宅ローンの利用 内容 課税標準 税率 軽減税率 抵当権の設定登記 債権額 1,000分の4 個人が、平成29年3月31日までの間に住宅用家屋の新築(増築を含む。)又は住宅用家屋の取得をし、自己の居住の用に供した場合において、これらの住宅用家屋の新築若しくは取得をするための住宅ローンに係る抵当権の設定登記 1,000分の1 ↑ 目 次 不動産取得税 不動産を購入したり、家を新築したときに課税(登記しなくとも課税)となります。ただし、相続は非課税。 (1)不動産取得税の計算 土地・建物の税額 = 固定資産税評価額 × 標準税率4% ただし、特例による標準税率の軽減 土地及び住宅 3%(平成30年3月31日まで) 住宅以外の家屋 4% (2)宅地の特例 宅地の課税標準が1/2となる特例(平成30年3月31日までの適用) 宅地の課税標準額 = 固定資産税評価額 × 1/2 (3)新築住宅と敷地の軽減 建 物 税 額 不動産取得税=(固定資産税評価額-1,200万円)×3% 要 件 (増改築含む) ●住宅全般に適用(自宅・セカンドハウス・居住用賃貸マンションなど) ●課税床面積が50㎡以上(戸建以外の貸家住宅は1戸当たり40㎡以上) 240㎡以下 土 地 税 額 不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(下記AかBの多い金額) A = 45,000円、 B =(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(床面積×2(200㎡限度))×3% 要 件 ●上記「建物」の軽減の要件を満たすこと ●取得から3年以内(平成30年3月31日までの特例)に建物を新築すること (4)認定長期優良住宅の軽減 建 物 特 例 新築住宅の1,200万円控除が1,300万円に増額(平成30年3月31日まで) (5)中古住宅と敷地の軽減 建 物 税 額 不動産取得税=(固定資産税評価額-控除額※1)×3% ※1 不動産取得税の軽減にかかる控除額などについては、各都道府県によって若干の相違があります。詳しくは不動産所在の各都道府県税事務所にご確認下さい。 新築日 控除額※2 平成9年4月1日以後 平成元年4月1日~平成 9年 3月31日 昭和60年7月1日~平成元年 3月31日 昭和56年7月1日~昭和60年 6月30日 昭和51年1月1日~昭和56年 6月30日 昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 1,200万円 1,000万円 450万円 420万円 350万円 230万円 150万円 100万円 ※2 以上の控除額は東京都の場合で、自治体により異なる。 要 件 ●買主の居住用、またはセカンドハウス用としての取得(居住用賃貸マンションは適用外) ●床面積が50㎡以上240㎡以下 ●次のいずれかに該当するものであること ① 昭和57年1月1日以降に建築されたもの(固定資産課税台帳に記載された新築日で判断) ② ①に該当しない住宅で、新耐震基準に適合していることについて証明がなされたものや、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定のもの ③ 新耐震基準に適合しない住宅で、入居前に新耐震基準に適合するための改修を実施する一定の中古住宅であること 土 地 税 額 不動産取得税=(固定資産税評価額×1/2×3%)-控除額(下記AかBの多い金額) A = 45,000円、 B =(土地1㎡当たりの固定資産税評価額×1/2)×(床面積×2(200㎡限度))×3% 要 件 ●上記「建物」の軽減の要件を満たすこと ●取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること(土地先行取得の場合) ●土地を借りるなどしてその土地上の建物を取得した人が1年以内にその土地を取得すること(建物建築先行の場合) ↑ 目 次 不動産を買って減税 住宅ローン減税 むつかしく専門用語でいうと住宅借入金等特別控除といいます。 住宅ローンの年末残高の1%の金額を所得税額から控除します。例えば、サラリーマンの場合、年末ローン残高が2,000万円で年間で40万円の所得税が源泉されていれば年末調整で20万円が戻ります。 住宅ローン控除の適用要件 ① 新築又は取得の日から6か月以内に居住し、住みつづけること ② 収入が3,000万円以下 ③ 住宅の登記簿床面積が50平方メートル以上 店舗、事務所などを兼用している場合には、床面積の2分の1以下であること ④ 10年以上の住宅ローンを組んでいること ⑤ 居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を受けていないこと ローン控除額の計算方法 居住の用に供した年 控除期間 控除額の計算(控除限度額) 平成26年4月1日~平成31年6月30日 10年 年末ローン残高×1%(40万円) (100円未満の端数金額は切り捨て) ↑ 目 次 不動産を売ってかかる税金 印紙税 売買代金を受領したときの領収書に貼付する印紙 受領した手付金、残金などの領収書の金額 印 紙 100万円以下のもの 200円 100万円を超え 200万円以下のもの 400円 200万円を超え 300万円以下 〃 600円 300万円を超え 500万円以下 〃 1千円 500万円を超え1千万円以下 〃 2千円 1千万円を超え2千万円以下 〃 4千円 2千万円を超え3千万円以下 〃 6千円 3千万円を超え5千万円以下 〃 1万円 5千万円を超え 1億円以下 〃 2万円 1億円を超え 2億円以下 〃 4万円 2億円を超え 3億円以下 〃 6万円 ↑ 目 次 譲渡税 (1)課 税 土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は、事業所得や給与所得などの所得と分離(分離課税)して、計算します。 (2)計算方法 課税対象となる譲渡所得金額=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除 (注) ● 譲渡価額とは、土地や建物の売却代金 ● 取得費とは、売った土地や建物を買い入れたときの購入代金や、仲介手数料などの資産の取得に要した金額に、その後支出した改良費、設備費などの額を加えた合計額 なお、建物の取得費は、所有期間中の減価償却費相当額を差し引いて計算します。 また、土地や建物の取得費が分からなかったり、実際の取得費が譲渡価額の5%よりも少ないときは、譲渡価額の5%を取得費(概算取得費)とすることができます。 ● 譲渡費用とは、土地や建物を売るために支出した費用をいい、仲介手数料、測量費、売買契約書の印紙代、売却するときに借家人などに支払った立退料、建物を取り壊して土地を売るときの取壊し費用などです。 ● 特別控除は、通常の場合ありませんが、マイホームを売った場合の3,000万円の特別控除など各種の特例 (3)税 額 区 分 税 額 長期譲渡所得 (譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの) 課税長期譲渡所得金額×15%(住民税5%) 短期譲渡所得 (譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの) 課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%) (注) 平成25年から平成49年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになります。 (4)マイホームを売ったときの軽減 自分が住んでいたマイホーム(居住用財産)を売って、一定の要件に当てはまるときは、長期譲渡所得の税額を通常の場合よりも低い税率で計算する軽減税率の特例を受けることができます。 長期または短期でもマイホームの場合の3000万円の特別控除は適用されます。 税額=課税長期譲渡所得金額(6,000万円以下)×10% 税額=(課税長期譲渡所得金額(6,000万円超)-6,000万円)×15%+600万円 適用要件 (以下5つの要件全てに当てはまること) (1)日本国内にある自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地を売ること。 なお、以前に住んでいた家屋や敷地の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。 また、これらの家屋が災害により滅失した場合には、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。 (注)住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。 イ その敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること。 ロ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。 ハ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。 (2)売った年の1月1日において売った家屋や敷地の所有期間がともに10年を超えていること。 (3)売った年の前年及び前々年にこの特例を受けていないこと。 (4)売った家屋や敷地についてマイホームの買換えや交換の特例など他の特例を受けていないこと。ただし、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例は、重ねて受けることができます。 (5)親子や夫婦など特別の関係がある人に対して売ったものでないこと。 特別の関係には、このほか生計を一にする親族、家屋を売った後その売った家屋で同居する親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。 ↑ 目 次 不動産を持っててかかる税金 固定資産税・都市計画税 固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日時点の所有者が納税義務者となります。課税庁である市区町村が税額を計算し、納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。 固定資産税・都市計画税は、固定資産税評価額を課税標準として計算されます。固定資産税評価額は3年に一回見直すことになっています。住宅や住宅用地については、課税標準や税額の軽減措置があります。 ●固定資産税の計算 税額=課税標準 × 1.4% (標準税率) ●都市計画税の計算 税額=課税標準 × 最高0.3% (制限税率) 固定資産税の課税の仕方 ○ 固定資産税は毎年1月1日時点の土地・建物などの所有者(固定資産税課税台帳に登録されている人)に対し市区町村が課税します。納税は送られてくる納税通知書を使い納税します。一括払い又は年4回の分納のいずれかを選べます。 ○ 課税標準は固定資産税課税台帳に登録されている固定資産税評価額です。 ○ 住宅用地と新築住宅の建物に対しては軽減の特例が設けられています。 ○ 負担調整の特例により急激に固定資産税の負担が増える地域は一定の率の増加に抑えられています。 住宅用地の特例 (マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション〔住宅用〕など) 住宅用地※ 小規模住宅用地(200m2以下の部分)… 課税標準 × 1/6 一般住宅用地(200m2超の部分)… 課税標準 × 1/3 但し、建物の課税床面積の10倍が上限とされます。 注1:店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上である場合、その敷地全てが住宅用とみなされます。 注2:その敷地のうえに住宅が存在する限り、軽減の特例は適用されます。 注3:マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します。 注4:空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地を除く。 新築住宅の建物 新築建物は120m2(課税床面積)までの部分について3年間・5年間にわたって固定資産税が1/2(平成30年3月31日までに新築された場合の特例)となります。 ○3階建以上の耐火構造・準耐火構造住宅 … 新築後5年間 ○一般の住宅(上記以外)… 新築後3年間 ○専用住宅・店舗併用住宅(店舗併用住宅の場合、居住用部分が1/2以上) ○居住部分の課税床面積が一戸につき50m2以上280m2以下であること。 (貸家住宅の場合一戸につき40m2以上280m2以下) 認定長期優良住宅の建物 平成30年3月31日までの間に新築された場合には新築から5年間(マンション等は7年間)税額が1/2に減額されます。 ※住宅用地とは、専用住宅の土地又は併用住宅で建物の1/4以上が居住の用に供されている土地となります。 都市計画税の課税の仕方 〇 都市計画税は毎年1月1日時点の都市計画区域内にある土地・建物などの所有者に対し、市区町村が課税します。固定資産税と一括して納税します。 〇 税率は最高限度0.3%以内の範囲で課税されます。 都市計画税の軽減の特例(マイホーム・セカンドハウス・賃貸用マンション[住宅用]など) 住宅用地※ 小規模住宅用地(200m2以下の部分)… 課税標準 × 1/3 一般住宅用地(200m2超の部分)… 課税標準 × 2/3 注1:マンション等集合住宅の場合、敷地全体の面積を居住用住戸の戸数で除した面積で判定します。 注2:空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく必要な措置の勧告の対象となった特定空家等に係る土地を除く。 新築住宅の建物 原則として軽減の特例はありません。 但し、市区町村によっては条例により特別に軽減の特例を設けている場合があります。 ※住宅用地とは、専用住宅の土地又は併用住宅で建物の1/4以上が居住の用に供されている土地となります。 ↑ 目 次